問題とは

問題の基本的定義

一日の生活イメージ

 問題とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップ(差)
のことを言います。こうした考え方が現在の主流となっています。
 もちろん、これ以外の定義を説明しているものもありますが、ここでは、この考え方に沿って話をすすめていきます。
 この考え方が支持され、主流になったのは、問題を示す要素が端的に示されていて明快だからです。

 定義から、問題を考えるポイントが4つあることが分かります。
  1つ目:あるべき姿を具体的に描く・捉えること
  2つ目:現状をあるべき姿と対比できるよう認識すること
  3つ目:あるべき姿と現状のギャップをきちんと定義すること
  4つ目:難しさを具体的に理解する(後述します)


問題の記述例

体験学習イメージ

定義に沿って事例を見てみましょう、
営業チームで、ある地区を担当する佐藤さんの例を想定してみます。

記述例 
当チームの今年度の売上目標10億円(あるべき姿)に対して、
現時点の売り上げ見込みは8.1億円(現状)である。
このままでは1.9億円の未達(ギャップ)になる。

文章が長く、日頃の議論の中で示されてものと違うと感じられたのではないでしょうか?普段は、こんな感じでしょうか?

簡易表現の例 
・売上が1.9億円未達  

もう一つ例を示します。

記述例 
報告書用の集計プログラムを作成し利用したいが(あるべき姿)、
プログラム作成の経験がなく(現状)、
スキル不足で作成できない(ギャップ)

簡易記述の例 
・スキル不足で集計を容易化できない


 前提となるあるべき姿や現状、果てはギャップまでを省略してプレゼンテーションの資料に載せている事例を多く見かけます。
これは、伝える情報量に制限があって省略していることが多いと思います。言語学的には、「寛容の原則」と言います。限られた文字や言葉で伝えなければならない世界にあっては、何らかの省略が必要になりますので重要な原則といえます。しかし、省略する前提は伝える相手がその点を共有できている場合に限られます。問題解決は論理的に取組むことで効果的・効率的に進められるので、問題解決の各ステップでは定義に沿って内容を確認できるようにしておきたいものです。


やさしい問題と難しい問題

英語学習イメージ

ギャップの大きさと期間の長さで難度が決まる

 山に登るとき、その高さが登頂の難しさの指標の1つになりますが、問題も「あるべき姿」と「現状」のギャップが大きいほど難しい問題といえます。

 事例で説明した「売上が1.9億円未達」を例にすると、この1.9億円を2か月で解消する場合は月に約1億円となります。しかも、残り2か月には読み込み済みの売上が入った状況です。年間の売上が10億円の状態では、かなり難しいと感じられるのではないでしょうか?

 しかし、1.9億円のギャップ解消を10か月でとなれば、月に1900万円ですから達成の実現性が高まり、さきほどよりはやさしい問題と映るでしょう。このように問題の難しさは、ギャップの大きさと、達成までの期間の長さによってその感じ方が異なります。

 その点から、もう一度売上の問題を考えてみます。ギャップはA社への販売不振による売上未達によるものでした。では、残り2か月でA社への販売促進を進めていくための課題設定をしていくかというとそうはいきません。

 このことで以下の疑問や新たな問いが生まれます。問題を定めるのは容易ではあります。

たとえば、
 A社に対して
 ・そもそもA社は残り2か月で70万個も追加注文してくれるのか?
 ・もし、注文をするとして価格ダウンを要求されたらどうする?

 自社に対して
 ・70万個の追加生産を12月までに完了できるのか?
 ・生産に使用する部材は期間内に調達できるのか?
 ・在庫は?

 一方で、同じギャップの大きさ、実現時間であっても、一度でも同様の問題を扱い解決できた問題はやさしく感じるが、一度も解決したことが無い問題や初めて扱う問題の時は難しく感じることはみなさんも経験的に理解していただけると思います。

 このように問題の難しさは、ギャップの大きさ、検討の時間の長さ、経験値の有無で変化することになります。


三角ロジック(思考の構造)

英語学習イメージ

問題とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップ(差)である
から事例の説明をしました。

問題の記述は「寛容の原則」から「あるべき姿」や「現状」を省略することがあるにしても、背景としてこれらが共有されていることが前提となります。
このように定義することがなぜ大切なのでしょうか?
それは、問題設定が論理的な思考に基づく説明でないとみなの合意を得られないからです。

問題設定が、論理的な思考であるための要件は、三角ロジックから説明できます。
三角ロジックについては、ご存じの方も多いと思います。
主張となる自分が言いたい結論を説明するにあたり、根拠として、事実と理由付による論理の三角形をなすことからこのように呼ばれています。

右の図からわかるように、三角ロジックを90度右回転すると

 ①理由付=①あるべき姿
 ②事実=②現状
 ③主張=③ギャップ(問題)


と同じ意図の構造を持っていることがわかります。

よって、問題は三角ロジックによる思考の構造から説明すると納得感のある論理的で受け入れやすい主張となります。


三角ロジック(思考の構造)
問題とは、「あるべき姿」と「現状」のギャップ(差)であるから事例の説明をしました。



問題設定の全要素(トゥールミン・モデルから)

さて、この三角ロジックは、イギリスの分析学者トゥールミンが議論の論理的な構造を説明する6つの要素を備えた「トゥールミンモデル」から、主張・事実(証拠)・論拠(理由付)の3つに要素に絞って構成したものです。

つまり、より厳密に論理的な説明をする上では、「トゥールミン・モデル」から、さらに3つの要素を加えていくことが望まれます。
トゥールミン・モデルの6つの要素を示すことで、より構造的で強度の高い説明ができるようになります。

 ①理由付=①あるべき姿
 ②事実=現状
 ③主張=③ギャップ(問題)

①から③については、すでに説明したのでお分かりかと思います。
残り3つの要素を説明します。

 ④反証 ~でない限り、例外
  主張は、かならず反論される要素を持ちます。
  考えた時点で既に考慮したこと、あるいは留意したことを示し  
  ます。佐藤さんの問題の例では、以下の点が挙げられます。

 外的要因:市場環境が急変しない限り
      競合商品が問題を起さない限り
      A社のビジネスが変化しない限り
 内部要因:新たな対応をしない限り
      生産が不具合を起こさい限り
      期中に計画を変更していない限り
 反証は、例外事項なのであらゆる可能性から際限なく出せます。

 ⑤限定 確からしさの程度、主張の説明範囲
   一般的:このままいけば
   佐藤さんの例:今年度においては

 ⑥裏づけ: 理由づけの正当性を支える要素
   一般的:法的要求事項、社内規則・ルール、世間常識
   佐藤さんの例:当社の年初の事業計画資料から

④の反証は問題解決における要素にもなるものが含まれます。
⑤限定や⑥裏づけは「寛容の原則」から省略されることが多いものです。
この内容も、必要に応じ問題解決に置いて振り返る要素となります

このトゥールミン・モデルはいろいろな場面で形を変えて利用できるので覚えておいて損のない知識です。

さらに理解を深めたい方へ                次へ(経験済みな問題へ)

 


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